目次
ストキャスティクス(Stochastics)とは
ストキャスティクス(Stochastics)は、テクニカル分析の一つであり、オシレーター系の指標です。
以前検証したRSIと同じく、相場の買われすぎ、売られすぎを判断することができます。
ストキャスティクスには、ファーストストキャスティクスとスローストキャスティクスの2種類があります。
- ファーストストキャスティクス
- 相場の動きに素早く反応するため短期売買に適している
- 感度が高くダマシが多い
- %K, %Dを使用
- スローストキャスティクス
- ダマシの多いファーストストキャスティクスをスムージング処理したもの
- %D, Slow%Dを使用
ストキャスティクスの算出方法
ストキャスティクスで使用する%K, %DおよびSlow%Dの算出方法は、以下の通りです。
\begin{align*}
&\%K = \frac{その日の終値 - 過去L日間の最安値}{過去L日間の最高値 - 過去L日間の最安値} * 100 \\
\\
&\%D = \%KのM日単純移動平均 \\
\\
&Slow\%D = \%DのN日単純移動平均
\end{align*}
通常、パラメータL, M, Nには以下の日数が使用されます。
- L = 9日
- M = 3日
- N = 3日
ストキャスティクスの使い方
ファーストおよびスローストキャスティクスの使い方は、次の通りです。
ファーストストキャスティクス
%Kおよび%Dが20%以下にある場合は「売られすぎ」、また、%Kおよび%Dが80%以上にある場合は「買われすぎ」と判断します。
また、下記の売買サインもあります。
- 買いサイン
- %Kが%Dを下から上へクロスしたタイミング
- 売りサイン
- %Kが%Dを上から下へクロスしたタイミング
スローストキャスティクス
Slow%Dが20%以下にある場合は「売られすぎ」、また、Slow%Dが80%以上にある場合は「買われすぎ」と判断します。
また、下記の売買サインもあります。
- 買いサイン
- %DがSlow%Dを下から上へクロスしたタイミング
- 売りサイン
- %DがSlow%Dを上から下へクロスしたタイミング
検証条件
下記の検証条件に従い、ストキャスティクスを使用した株のトレード手法を検証したいと思います。
- ファーストストキャスティクス(%K, %D)を使用
- 「買い」条件: 条件A and 条件B
- 条件A: 前日の%Kおよび%Dが20%より小さい
- 条件B: %Kが%Dを下から上へクロス
- 「売り」条件: 条件C and 条件D
- 条件C: 前日の%Kおよび%Dが80%より大きい
- 条件D: %Kが%Dを上から下へクロス
- 売買は条件成立日の終値とする
- 新規売買は1回とする
- 「買い」あるいは「売り」を実行中に追加の「買い」あるいは「売り」条件が成立しても無視する
- 各パラメータの期間は次の通り
- %Kの期間: 9日
- %Dの期間: 3日
- 株価データは「任天堂(7974)」を使用する
- 株価データの期間は2003年1月から2023年1月の20年間とする
- 売買単位は100株とする
- トレードによる手数料、税金は無視する
検証結果
検証結果を以下に示します。
| 年 | 売買数 | 成功数 | 成功率 | Fast 損益 |
|---|---|---|---|---|
| 2003 | 15 | 14 | 93% | 77,200 |
| 2004 | 12 | 8 | 67% | 34,000 |
| 2005 | 11 | 9 | 82% | 34,200 |
| 2006 | 5 | 3 | 60% | -29,200 |
| 2007 | 10 | 6 | 60% | 105,900 |
| 2008 | 10 | 6 | 60% | -108,000 |
| 2009 | 11 | 6 | 55% | 1,900 |
| 2010 | 13 | 9 | 69% | 7,100 |
| 2011 | 11 | 7 | 64% | -43,700 |
| 2012 | 12 | 8 | 67% | 14,000 |
| 2013 | 9 | 4 | 44% | -33,600 |
| 2014 | 9 | 7 | 78% | 51,700 |
| 2015 | 12 | 8 | 67% | -17,450 |
| 2016 | 14 | 12 | 86% | 168,300 |
| 2017 | 8 | 5 | 63% | -103,550 |
| 2018 | 14 | 10 | 71% | 37,700 |
| 2019 | 8 | 6 | 75% | 85,400 |
| 2020 | 9 | 3 | 33% | -114,000 |
| 2021 | 14 | 9 | 64% | 113,400 |
| 2022 | 11 | 9 | 82% | 169,200 |
- 2003年から2022年における損益の合計: 450,500円
- 成功率 Max: 93%(2003年), Min: 33%(2020年)
- 年毎の利益 Max: 169,200円(2022年), Min: -114,000円(2020年)
「Fast 損益」は、今回の検証による各年の損益を示しています。
2003年, 2020年および2022年の日足チャートおよびストキャスティクス(%K, %D)を確認したいと思います。
![]() |
| 2003年 任天堂(7974) 日足チャート、ストキャスティクス(%K, %D) |
2003年の日足チャートは、800円から1,100円の間でのボックス相場であることが確認できます。
また、ストキャスティクス(%K, %D)もローソク足に振られるように、下は20%以下から上は80%以上まで綺麗にスイングしており、この結果、成功率が高くなったことが分かります。
![]() |
| 2020年 任天堂(7974) 日足チャート、ストキャスティクス(%K, %D) |
2020年の日足チャートは、株価が年初から下落を始め、3月中旬に株価が3,500円を割った後は、年末に向けて上昇トレンドを形成しているのが確認できます。
また、株価が横ばいで推移すると、その後のちょっとした上昇や下降により、ストキャスティクス(%K, %D)が上下に振られてしまうことが分かります。
今回の検証では、新規の売買は1回のみとしているため、こうした状況では利益が得られず、損失が積み重なってしまうことになります。
こうした点から、条件成立時における追加の売買を可能とした場合の検証も行う必要があると感じました。
![]() |
| 2022年 任天堂(7974) 日足チャート、ストキャスティクス(%K, %D) |
2022年の日足チャートは、5,500円から6,300円の間を基準としたボックス相場であることが確認できます。
2003年でも確認したように、ストキャスティクス(%K, %D)はボックス相場との相性が良いようです。
また、2022年においても、条件成立時における追加の売買を可能とした場合には利益が増える可能性がありそうです。
投資成績の改善案
単純なファーストストキャスティクスを使用した株のトレード手法を検証した結果、投資成績の改善案として、条件成立時の追加売買を認めることが挙げられます。
その他、スローストキャスティクスに関する検証も行っていきたいと思います。
検証データについて
今回の検証で作成したExcelデータは、以下のGitHub Pagesに公開しています。
https://4affiuser.github.io/data/trade/Stochastics/トレード_ストキャスティクス_1_任天堂_検証データ.zip




