目次
移動平均線を発展させたMACD(Moving Average Convergence Divergence)
MACD(マックディーと読みます)は、短期と長期の移動平均線を使ったトレンド系のテクニカル分析手法です。
MACDとMACDシグナル(MACDから算出される)のゴールデンクロスとデッドクロスに基づき売買を行います。
MACDおよびMACDシグナルの算出方法
MACDおよびMACDシグナルの算出には、指数平滑移動平均線(EMA: Exponential Moving Average)を使用します。
単純移動平均線(SMA: Simple Moving Average)とは異なりますので、注意が必要です。
\begin{align*}
& MACD = 短期(X日)のEMA_x - 長期(Y日)のEMA_y \\
\\
& MACDシグナル = MACDのEMA_z(Z日)
\end{align*}
一般的に、X = 12, Y = 26, Z = 9を使用します。
また、期間n日におけるEMAの算出式は、以下の通りです。
\begin{align*}
n日目: & \ EMA_n = n日間のSMA_n(単純移動平均) \\
\\
(n+1)日目以降: & \ EMA_{n+1} = \frac{(n - 1) * EMA_n + 2 * 当日の値 \;\;\;\;\;}{n+1}
\end{align*}
上式において、MACDを算出する場合は「当日の値」が当日の終値となり、MACDシグナルを算出する場合は「当日の値」が当日のMACDとなります。
結論
- MACDヒストグラム + しきい値 + 追加売買 による株式トレードは、やってみる価値がある
- その他のMACDを使った株式トレードは儲からない
MACDは、株価の動きに追従する特性が比較的高く、使いやすいテクニカル分析の手法です。
その代わりに、ダマシも多く発生するため、ノイズ除去の工夫が必要となります。
私が実際に行った、MACDを使った株式トレードの結果を以下にまとめました。
MACDとMACDシグナルのクロスで売買
MACDとMACDシグナルのクロスで売買するトレード手法を検証しました。
- MACDがMACDシグナルを下から上にクロスしたら「買い」および「返済買い」
- MACDがMACDシグナルを上から下にクロスしたら「空売り」および「返済売り」
MACDの期間は短期12日、長期26日とし、また、MACDシグナルの期間は9日としました。
検証結果は、以下の通りです。
- 2003年から2022年における損益の合計: 101,800円
- 年毎の成功率(Max, Min): 67%(2019年), 8%(2006年)
- 年毎の利益(Max, Min): 248,800円(2021年), -160,200円(2006年)
詳細は、下記を参照ください。
MACDヒストグラムの反転で売買
MACDからMACDシグナルを引いたものがMACDヒストグラムです。
\begin{align*}
MACDヒストグラム = MACD - MACDシグナル
\end{align*}
売買条件は、以下の通りです。
- MACDヒストグラムが減少から増加に反転したら「買い」および「返済買い」
- MACDヒストグラムが増加から減少に反転したら「空売り」および「返済売り」
MACDの期間は短期12日、長期26日とし、また、MACDシグナルの期間は9日としました。
検証結果は、以下の通りです。
- 2003年から2022年における損益の合計: 717,600円
- 年毎の成功率(Max, Min): 42%(2018年), 24%(2017年)
- 年毎の利益(Max, Min): 257,000円(2018年), -186,850円(2017年)
詳細は、下記を参照ください。
MACDヒストグラムの反転見直し + 追加売買
MACDヒストグラムの売買条件を、ノイズを減らす目的で以下のように見直しました。
- 見直し前
- MACDヒストグラムが 下降 → 上昇 で「買い」および「返済買い」
- MACDヒストグラムが 上昇 → 下降 で「空売り」および「返済売り」
- 見直し後
- 3点サンプリング
- MACDヒストグラムが 下降 → 下降 → 上昇 で「買い」および「返済買い」
- MACDヒストグラムが 上昇 → 上昇 → 下降 で「空売り」および「返済売り」
- 4点サンプリング
- MACDヒストグラムが 下降 → 下降 → 下降 → 上昇 で「買い」および「返済買い」
- MACDヒストグラムが 上昇 → 上昇 → 上昇 → 下降 で「空売り」および「返済売り」
さらに、売買条件成立後に上昇・下降を継続した場合は、追加でN回(N=1, 2, 3)の売買を行います。
MACDの期間は短期12日、長期26日とし、また、MACDシグナルの期間は9日としました。
検証結果は、以下の通りです。
- 2003年から2022年における損益の合計
- 3点サンプリング
- N=1: -196,300円
- N=2: 80,500円
- N=3: 25,550円
- 4点サンプリング
- N=1: -230,600円
- N=2: -313,500円
- N=3: -220,550円
- 年毎の成功率(Max, Min)
- 3点サンプリング
- N=1: 55%(2014, 2020年), 33%(2017年)
- N=2: 55%(2014, 2020年), 33%(2017年)
- N=3: 55%(2012, 2014, 2020年), 35%(2017年)
- 4点サンプリング
- N=1: 64%(2003年), 26%(2005年)
- N=2: 68%(2003年), 30%(2005年)
- N=3: 68%(2003年), 30%(2005年)
- 年毎の利益(Max, Min)
- 3点サンプリング
- N=1: 136,000円(2020年), -85,200円(2009年)
- N=2: 109,500円(2020年), -99,100円(2009年)
- N=3: 113,150円(2014年), -121,800円(2010年)
- 4点サンプリング
- N=1: 100,000円(2020年), -184,200円(2009年)
- N=2: 90,350円(2015年), -196,000円(2009年)
- N=3: 81,700円(2019年), -196,800円(2009年)
詳細は、下記を参照ください。
MACDヒストグラム + しきい値
さらなるノイズ削減を目的として、MACDヒストグラムによる売買に対してしきい値を設けることとしました。
- 「買い」条件: 条件A and 条件B
- 条件A: MACDヒストグラムが 下降 → 上昇
- 条件B: 当日のMACDヒストグラム < しきい値 * (-1)
- 「売り」条件: 条件C and 条件D
- 条件C: MACDヒストグラムが 上昇 → 下降
- 条件D: しきい値 < 当日のMACDヒストグラム
今回は、新規売買を条件成立時の1回のみとしました。
また、しきい値は、10, 20, 30, 40を使用しました。
検証結果は、以下の通りです。
- 2003年から2022年における損益の合計
- しきい値=10: -241,600円
- しきい値=20: 274,300円
- しきい値=30: 607,900円
- しきい値=40: 31,200円
- 年毎の成功率(Max, Min)
- しきい値=10: 100%(2003年), 25%(2012年)
- しきい値=20: 100%(2014年), 25%(2009年)
- しきい値=30: 100%(2014年), 43%(2008年)
- しきい値=40: 100%(2009, 2016, 2017, 2022年), 0%(2019年)
- 年毎の利益(Max, Min)
- しきい値=10: 267,000円(2016年), -369,500円(2008年)
- しきい値=20: 275,800円(2016年), -287,500円(2008年)
- しきい値=30: 207,600円(2022年), -341,500円(2008年)
- しきい値=40: 248,400円(2022年), -375,500円(2008年)
詳細は、下記を参照ください。
MACDヒストグラム + しきい値 + 追加売買
上述した「MACDヒストグラム + しきい値」を使ったトレード手法に対して、条件成立時に追加の売買を何度でも実行可能としました。
その他の条件は変更なしです。
検証結果は、以下の通りです。
- 2003年から2022年における損益の合計
- しきい値=10: 296,300円
- しきい値=20: 1,510,900円
- しきい値=30: 1,052,050円
- しきい値=40: -20,450円
- 年毎の成功率(Max, Min)
- しきい値=10: 100%(2003, 2014年), 38%(2010年)
- しきい値=20: 100%(2014年), 50%(2009年)
- しきい値=30: 100%(2014, 2015年), 43%(2008年)
- しきい値=40: 100%(2009, 2016, 2017, 2022年), 0%(2019年)
- 年毎の利益(Max, Min)
- しきい値=10: 706,150円(2016年), -675,300円(2007年)
- しきい値=20: 384,900円(2018年), -375,800円(2008年)
- しきい値=30: 295,600円(2014年), -524,800円(2008年)
- しきい値=40: 272,100円(2022年), -622,800円(2008年)
詳細は、下記を参照ください。
まとめ
2003年から2022年における損益の合計が1,000,000円を超えたのは、「MACDヒストグラム + しきい値 + 追加売買」が初めてです。
また、このトレード手法は、成功率もそれなりに高く、個人的な感覚ですが、割と良い手法だと感じました。
移動平均線やRSIを使った株式トレードでは、1,000,000円の壁を超えることはできません
でしたので、非常に感慨深いものがあります。
しかし、20年間の損益合計がわずか1,000,000円では少なすぎます。
このため、さらなる投資成績の改善を図っていく必要があります。

