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オシレーター系テクニカル分析の代表といえばRSI(Relative Strength Index)
テクニカル分析には、株価の推移に対するトレンドを表すトレンド系と、株価の買われすぎ・売られすぎを表すオシレーター系があります。
トレンド系の代表的な指標が移動平均線です。
そして、RSIはオシレーター系の代表的な指標です。
一般的に、RSIが30%以下で売られすぎ、70%以上で買われすぎと判断されます。
今回は、過去の株価データに対して、RSIを使った株式トレードを行い、本当に儲かるのか確認してみました。
- 株価データ: 任天堂株式会社(証券コード: 7974)
- 2003年1月から2023年1月までの約20年間
結論を述べる前に、RSIの算出式に関して説明します。
RSIの算出式
RSIの算出式は、私が調べた限りでは、次の2種類があります。
RSIの算出式 その1
\begin{align*}
RSI_1 & = 100 * \frac{A}{(A+B)} \;[\%]
\end{align*}
上式において、A, Bは以下の通りです。
- A = n日間の終値の上昇幅の合計
- B = n日間の終値の下落幅の合計
A, Bをそれぞれ上昇幅・下落幅の合計としましたが、期間を示すnで割った平均としても数式としては同じになります。
RSIの算出式 その2
n日目のRSI算出は、上記の$RSI_1$の算出式を使用します。
そして、(n+1)日目以降は、以下の式を使用します。
$$RSI_2 = 100 * \frac{A'}{(A'+B')} \;[\%]$$
A', B'は前日の上昇幅・下落幅の合計から平均を求め、その結果に当日の上昇幅・下落幅を加えたものです。
私の説明ではうまく伝えられないと思いますので、以下に具体的な計算方法の説明を記載します。
RSI計算の詳細
下記の数値を使用して、各RSIを計算します。
| 日数 | 終値 | 差分 |
|---|---|---|
| 1日目 | 100 | - |
| 2日目 | 140 | +40 |
| 3日目 | 130 | -10 |
| 4日目 | 110 | -20 |
| 5日目 | 140 | +30 |
上記の表は、ある日のある銘柄における終値と、前日の終値と当日終値との差分を示しています。
RSIを算出する期間を3日とします。
4日目までの終値の差分からA, Bを求めます。
RSIを算出する期間は3日なので、A, Bを求める対象の期間は2日目から4日目までの3日間となります。
\begin{align*}
A & = 40 \\
\\
B & = |(-10) + (-20)| = 30
\end{align*}
この結果、$RSI_1$, $RSI_2$は以下のようになります。
\begin{align*}
RSI_1 = RSI_2 = 100 * \frac{40}{(40 + 30)} \fallingdotseq 57.14 \;[\%]
\end{align*}
しかし、5日目以降は$RSI_1$と$RSI_2$に差分が生じてきます。
5日目のA, Bを求める対象の期間は3日目から5日目までです。
このため、5日目のA, Bは以下のようになります。
\begin{align*}
A & = 30 \\
\\
B & = |(-10) + (-20)| = 30
\end{align*}
続いて、A', B'を算出します。
5日目のA', B'を求める式は、以下のようになります。
\begin{align*}
A' = 2 * 4日目のAの平均値 + 5日目の終値の上昇幅 \\
\\
B' = 2 * 4日目のBの平均値 + 5日目の終値の下落幅
\end{align*}
4日目のAの平均値と4日目のBの平均値は、4日目のA, Bそれぞれを期間の3日で割って算出します。
\begin{align*}
4日目のAの平均値 & = \frac{4日目のA \;\;\;}{3} = \frac{40}{3} \\
\\
4日目のBの平均値 & = \frac{4日目のB \;\;\;}{3} = \frac{|(-10) + (-20)|}{3} = 10
\end{align*}
このため、5日目のA', B'は以下のようになります。
\begin{align*}
A' & = 2 * \frac{40}{3} + 30 \fallingdotseq 56.67 \\
\\
B' & = 2 * \frac{30}{3} + 0 = 20
\end{align*}
以上から、5日目における$RSI_1$と$RSI_2$は、以下の通りです。
\begin{align*}
RSI_1 & = 100 * \frac{30}{(30 + 30)} = 50 \;[\%] \\
\\
RSI_2 & = 100 * \frac{56.67}{(56.67 + 20)} \fallingdotseq 73.91 \;[\%]
\end{align*}
今回のRSIを使った株式トレードの確認では、RSIの算出式 その1を使用しました。
RSIの算出式 その1を選んだ理由は、単純にExcelでの計算が簡単だったからです。
結論
- RSIを使った株式トレードは儲からない
実際に、RSIを使った株式トレードを検証した結果、RSIには以下に挙げた欠点があることが分かりました。
- 上昇・下降トレンドでは損失が拡大する
- 値動きの大きな変化に反応するため損失を招く
私の感覚では、RSIは一定程度の値幅で推移するボックス相場では利益を得ることができます。
しかし、上述の値動きに対しては損失に繋がることが多く、トータルとして儲からないという結論に至りました。
私が実際に行った、RSIを使った株式トレードの結果を以下にまとめました。
売られすぎ、買われすぎによる売買
RSIに基づく単純な売買を検証しました。
- RSI < x% で「買い」および「返済買い」
- (100 - x)% < RSI で「売り」および「返済売り」
- x=30, 40%とする
RSIの期間は、全ての検証において14日としました。
また、上記の条件を満たす場合、追加の売買数Nについては、N=1, 2, 3, 4で検証しました。
N=1の場合、RSIの条件に基づいて売買を1回行った後、返済売買を行うまで追加の売買は行いません。
N=2の場合は、RSIの条件成立時に追加の売買を1回のみ行います。
検証結果は、以下の通りです。
- RSIのしきい値が30, 70%の場合
- 2003年から2022年における損益の合計
- N=1: 405,700円
- N=2: 331,250円
- N=3: 253,000円
- N=4: 90,650円
- 年毎の利益(Max, Min)
- N=1: 324,600円(2021年), -181,900円(2017年)
- N=2: 405,700円(2021年), -360,500円(2017年)
- N=3: 474,100円(2021年), -540,600円(2017年)
- N=4: 634,200円(2016年), -719,400円(2017年)
- RSIのしきい値が40, 60%の場合
- 2003年から2022年における損益の合計
- N=1: -88,450円
- N=2: -24,200円
- N=3: -50,250円
- N=4: -15,050円
- 年毎の利益(Max, Min)
- N=1: 107,100円(2018年), -144,700円(2007年)
- N=2: 259,300円(2018年), -275,500円(2007年)
- N=3: 405,300円(2018年), -335,100円(2007年)
- N=4: 535,500円(2018年), -403,500円(2008年)
詳細は、下記を参照ください。
RSIの50%クロスで損切り
RSIに基づく単純な売買に、以下の損切りルールを追加しました。
- 「買い」実行後、RSIが50%を上回った後、70%に届くことなく下降した場合、50%を下回った日の終値で損切りを実行
- 「売り」実行後、RSIが50%を下回った後、30%に届くことなく上昇した場合、50%を上回った日の終値で損切りを実行
新規売買の基準となるRSIは30, 70%としました。
また、上記の条件を満たす場合の売買数Nについては、N=1, 2, 3, 4で検証しました。
検証結果は、以下の通りです。
- 2003年から2022年における損益の合計
- N=1: 464,000円
- N=2: 410,350円
- N=3: 378,700円
- N=4: 324,500円
- 年毎の利益(Max, Min)
- N=1: 234,400円(2021年), -133,700円(2020年)
- N=2: 350,400円(2019年), -234,400円(2020年)
- N=3: 476,750円(2019年), -310,000円(2020年)
- N=4: 592,000円(2019年), -415,600円(2020年)
詳細は、下記を参照ください。
買い値 or 売値のx%で損切り
損切りルールの見直しを行い、下記のようにしました。
- 「買い」の損切り: 終値 < 買い値 + x%(x=5, 10)
- 「売り」の損切り: 売り値 + x%(x=5, 10) < 終値
新規売買の基準となるRSIは30, 70%としました。
また、上記の条件を満たす場合の売買数Nについては、N=1, 2, 3, 4で検証しました。
検証結果は、以下の通りです。
- 2003年から2022年における損益の合計
- 損切りx=5%
- N=1: 348,450円
- N=2: 24,800円
- N=3: -364,850円
- N=4: -413,500円
- 損切りx=10%
- N=1: 492,200円
- N=2: 503,750円
- N=3: 214,900円
- N=4: -207,700円
- 年毎の利益(Max, Min)
- 損切りx=5%
- N=1: 493,400円(2021年), -211,400円(2020年)
- N=2: 613,700円(2021年), -428,700円(2008年)
- N=3: 821,800円(2021年), -696,200円(2008年)
- N=4: 921,200円(2021年), -757,500円(2020年)
- 損切りx=10%
- N=1: 452,200円(2021年), -209,800円(2020年)
- N=2: 746,000円(2021年), -465,300円(2020年)
- N=3: 954,200円(2021年), -847,400円(2020年)
- N=4: 1,105,600円(2021年), -1,153,400円(2020年)
詳細は、下記を参照ください。
RSI + 移動平均線 + 損切り
上昇・下降トレンドでの投資成績を改善するため、移動平均線を使ったトレンド判定を売買条件に加えました。
- 買い条件: 移動平均線が上から75日、25日、5日と並ぶ場合(下降トレンド)を除く
- 売り条件: 移動平均線が上から5日、25日、75日と並ぶ場合(上昇トレンド)を除く
その他の条件は、以下の通りです。
- 新規売買の基準となるRSIは30, 70%とする
- 条件を満たす場合の売買数Nについては、N=1, 2, 3, 4とする
- 損切りは買い値・売値の5%とする
検証結果は、以下の通りです。
- 2003年から2022年における損益の合計
- N=1: 191,700円
- N=2: 331,550円
- N=3: 575,300円
- N=4: 516,050円
- 年毎の利益(Max, Min)
- N=1: 361,700円(2008年), -144,400円(2020年)
- N=2: 779,600円(2008年), -256,600円(2020年)
- N=3: 1,056,100円(2008年), -284,600円(2020年)
- N=4: 1,299,100円(2008年), -316,550円(2015年)
詳細は、下記を参照ください。
損切り後、一定期間の売買を禁止
損切り後に実行された新規売買が、さらに損失を増やす要因となるトレードが多数確認されました。
そこで、下記条件を加えて損切り後の一定期間の売買を禁止することで、投資成績の改善を図ることができるか確認しました。
- 損切り実行後は、10日間の新規売買を禁止する
確認する対象は「RSIの50%クロスで損切り」と「RSI + 移動平均線 + 損切り」です。
また、条件を満たす場合の売買数Nについては、N=1のみとしました。
検証結果は、以下の通りです。
- 「RSIの50%クロスで損切り」
- 2003年から2022年における損益の合計
- N=1: 376,850円
- 年毎の利益(Max, Min)
- N=1: 235,700円(2021年), -129,100円(2020年)
- 「RSI + 移動平均線 + 損切り」
- 2003年から2022年における損益の合計
- N=1: 320,550円
- 年毎の利益(Max, Min)
- N=1: 399,700円(2008年), -93,600円(2018年)
詳細は、下記を参照ください。
Excelを使用した確認方法
今回のRSIを使った株式トレードの確認は、Excelを使用しました。
「売られすぎ、買われすぎによる売買」に関する詳細は、下記を参照ください。
まとめ
RSIは、売られすぎ、買われすぎを表す指標であり、非常に分かりやすいものです。
しかし、実際の株価データを使用して検証を行ったところ、投資成績は良くないことが確認できました。
損切りルールや移動平均線を使ったトレンドの考慮も行いましたが、投資成績の大きな改善には繋がりませんでした。
今回は、単純に思いつく条件をアレコレ試してみましたが、全てを確認したわけではありません。
例えば、やり残したこととして、RSIの算出式 その2を使った検証があります。
今後も継続的に検証を実施していきたいと考えています。

